天理大学 生涯教育

天理大学 人間学部 生涯教育専攻 ウェブログです。

「生涯教育基礎実習」で公開授業を実施しました。天理駅前広場 CoFuFun(コフフン)を地域の方と共創した市職員のかたを講師にお招きして

今年度秋学期の「生涯教育基礎実習」では、生涯教育を地域でもりあげているかたがたにゲスト講師になっていただいて、どんな取り組みをどんな形でおこなっているのか、お話をうかがっています。
10/14の回では、公開授業のかたちをとって、天理駅前広場 CoFuFun(コフフン)を地域の方と共創した市職員のかたを講師にお招きして、プロジェクトの構想から運営についてまで伺いました。
 
天理駅前広場 CoFuFun(コフフン)は、JR・近鉄天理駅の駅前広場。 2017年4月のオープンいらい、天理市内や近隣からたくさんの人たちが集まって、まちの元気をつなぐ、にぎわいづくりの拠点になっています。
cofufun.com
colocal.jp
 
今回の公開授業では、コフフン立ち上げ時に関わられた吉本幸史氏(現・福祉政策課)と、現在コフフンの運営を行っている増田幸平氏(総合政策課)から、おはなしをうかがうことができました。
www.tenri-u.ac.jp
 
授業「生涯教育基礎実習」では、今後、いろいろと伺ったお話をもとに、こんどは学生のほうから企画・アイディアを出して、お招きした講師の方々にお返しする、というチャレンジを計画しています。

街に出かけて学ぼう!

こんにちは。生涯教育専攻の佐々木です。
すごく久しぶりの投稿で。。。。
気まぐれブログ、お許しください。

天理大学でも秋学期が始まりました。
コロナ禍、まだまだ大変ですけど、
生涯教育専攻では少人数の対面授業も数多く再開しています。

その中でも、生涯教育基礎演習という1回生が履修する科目は、
キャンパスを飛び出して活動する専攻の目玉授業のひとつです。
今日はそのご紹介をしますね。
2019年度からは、3つのプロジェクトで活動しています。

【その1 “天理市放課後わくわく広場”参加プロジェクト】

放課後の子どもたちの安心・安全な居場所づくりを目的に、
天理市井堂堂小学校で週に1回、開催されています。
ここに、専攻の学生さんも“わくわくの先生”として参加してます!
子どもさんの姿をこのブログには出せないので、市のサイトをご覧ください。
 www.city.tenri.nara.jp

地域のわくわくの先生方、教育委員会のみなさまといった、
教室を支えているスタッフさんとの協力も大事な学びのひとつ。
それから、学生が企画を考える回があったりします。
2019年度の学生さんは、
「パラバルーン・ダンス!」「知略で勝て!秋の大運動会」「クリスマス会」
などの企画を作りました。
子どもが喜んでくれてみんなで楽しめる企画を考えるのは意外に大変だけど
学生さんの頑張りが子どもたちにも伝わっていたかなと思ったのは、
最後は涙のお別れになった時。見ていた私もウルっときてしまいました。

2020年度の1学期は教室もやむなく中止になってしまい、残念でした。
でも、9月になって始まりましたよ!
今年は、まず検温や消毒など安全対策から始まり、
参加学生さんも自らに安全対策を徹底しながら、
子どもたちの検温や消毒のお手伝いも担っています。
社会状況の応じた運営を学ぶのも大事なことですね。
そして、今年の学生さんはどんな企画をしてくれるか、
今から楽しみにしています。

【その2 “商店街のために大学生ができることを考える”プロジェクト】

本専攻でも長年お世話になっている「天理本通り商店街」
天理の名所です。
天理駅前から天理教教会本部までの1㎞に及ぶアーケード街は見ものですよ。
でも、今の時代、商店街の運営はどこも大変なのも確か。
天理本通り商店街も若者の知恵と活気を取り込むにはどうしたらいいか、
いつも知恵を絞っておられます。

そんな商店街のために大学生ができることはなんだろう?
このことをコンセプトに、2019年度は生涯教育専攻1回生の8名が活動しました。
商店街の利用実態や商店街に望むことについてアンケートをしたり、
商店街を舞台にしたイベント「てんりミュージックストリート」の運営に参加したり、
現場に入って感じられることを大事にします。

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調査の結果をまとめたものは、商店街の中の「天理市産業振興会館」で発表し、
新聞にも取り上げられました。
奈良)居場所になどと提案 天理大生が地元商店街を調査:朝日新聞デジタル
天理本通り商店街を元気に - 活性化策を店主らに提案/天理大生、1年かけプロジェクト取り組み|奈良新聞デジタル

・空き店舗、小学生以上は期間限定で出店可能!
Wi-Fi設備がある休憩スペース
・街ライブラリー
・無料自転車置き場
SNSなどでの情報発信
・継続的な勉強会
など、1年間の調査と経験をもとにしたいろいろな提案がなされました。
2020年度も秋から商店街に入ります!

【その3 学びと活動の循環でつくる多世代交流プロジェクト】

このプロジェクトチームは、なんと2つの活動を手掛けています!
ひとつは、天理市子育てプロジェクトへの参加。
天理市健康推進課さんとNPO法人ファザーリングジャパン関西さんが協働して
天理の“子育てパパ”さんたちを応援する取り組みをおこなっています。
ここに学生さんも参加しました。
fjkansai.jp

学生さんにとって子育てはまだ遠い先に感じられることだったかもしれません。
でも、活動の運営をお手伝いしながら、
今までは教科書やニュースで聞いていた
「子育ての課題」「男性の育児参加」といった社会の課題が
街で暮らす人の現実の中にあるものとして
感じられたんじゃないかなと思います。

もうひとつは、「ならまち わらべうたフェスタ」の運営に参加しました。
奈良市中心街から南東に広がる、歴史的な 街並みが素敵なならまち。
このならまちを舞台に、昔から地域につたわる“わらべうた”を題材に
したお祭りが「ならまち わらべうたフェスタ」。
もう30年近く続いている伝統になりつつあるイベントで、
毎年30以上の団体がならまちのいたるところにブースを作って
わらべうたや昔遊びを紹介する楽しいイベントをおこなっています。
ただ、実は運営側にはちょっとした悩みがあったそうで。
というのは、毎年たくさんの団体が参加してくれるがゆえに、
その団体同士がそれぞれのブースでどんな活動をしているのか
全体としてイベントが来場者からどんな印象をもたれているのか、
中々つかめなかったそうです。
そこに立ち上がった(!?)生涯教育専攻の学生さんたち!
事前準備の運営会議から参加して状況を把握したうえで、
当日はカメラをもって各ブースの様子とお客さんの声を取材。
後日の運営会で取材したイベント全体の様子を報告して、
各団体さんにも、イベントの成果としてこれまでには見えにくかった点を
感じていただくことができました。
実は、写真満載の「わらべうたフェスタ フォトブック」を作っていまして。
う~ん、ここで公開したい!
って気持をグッとこらえて、文章でご紹介してみました。
2020年のわらべうたフェスタは、史上初のリモート開催。
どんな姿になるのかな?
学生さんの関心も尽きないことでしょう。

以上、3つのプロジェクトについて、いかがでしたか?
この3つのグループはただそれぞれの現場で活動に参加するだけでなく、
節目には学年みんなで集まって、成果発表会をおこなっています。
お互いの活動について情報交換しながら
大きな視点で、「街に出かけて学ぶ」ことの意味を考えているわけです。
そして、今、2回生になったみなさんと、新しい1回生のみなさんが、
共通体験として参加したプロジェクトについて語り合えたら・・・
そんな学びを目指して、これからも元気に頑張っていこうと思います!
 

オンライン授業生活におすすめのガジェット/Webサービス/アプリを紹介しましょうか。

オンライン授業もはじまって、2週間が経ちました。いかがおすごしですか? 授業、うまくできていますか?
石飛です。ぼちぼちやっております。
地域によっては国の緊急事態宣言も解除になっていますが、あるいみ今がいちばん大事、あまりいきなり以前の日常に戻ろうとするとやばいですね。やばいです。あくまで徐々に、慎重に、コロナ対策を十分以上に意識しながら生活をもどしていきたいものです。

そういうわけで、とうぶん大学も原則としてオンライン授業が続く見通しなんですが、そこで、オンライン授業生活のこの時期に、ちょうどいいということで、おすすめのものを紹介します。どれも、アフターコロナでも役立つことうけあい、大学生でも社会人でも活用したらいいものですよ。いま、ちょうど、コロナのこの時期に、使い始めて慣れておくといい、という。

【ガジェット】(便利な文具)
さいしょにご紹介するのはこれ! スマホでPCなみにさくさく文章が書けるという「bluetoothキーボード」。
bitwave.showcase-tv.com
オンライン授業で、毎週、課題を出すことになっていると思います。それで、PCで授業を受けている人だけでなくて、スマホで授業を受けている人も多いし、レポートもスマホで書いて出してもかまわないことになっていると思います。でも、スマホだとどうしてもレポートみたいな長い文章は書きにくい!!
そこで、お勧めなのが、「bluetoothキーボード」というやつです。
みなさん、知っているよと言う人はけっこういるかもですが、このさい、良い機会なので、ぜひ使い始めてみてください。いいですよ!
スマホで、PCみたいにさくさく文章が書けるようになりますよ!
これ、たぶん、たんに入力方式が違うというだけではないと思います。スマホを手に持って画面上で指で操作して入力するのと、スマホを机の上に置いてキーボードを使って入力するのでは、たぶん、自分が書いている文章との「距離感」が違ってくるのが実感できると思います。「客観的な文章」が書けるようになる、っていうか。
もともと、スマホというのは、小さいけれど、性能はPCに匹敵するぐらいのものを内蔵しています。なので、ビジネスマンの人とかは、出先とかでスマホで文書をサクサクっと作ったりしているわけです。そのぐらいつかいこなせば、スマホしかなくても、PCに匹敵するオンライン授業生活が送れると思いますよ。
さあ、そこでお値段のほうですがなんと! まぁ物によりますが、安いものだと2000円ぐらいからあります。石飛が使ってるのは乾電池式の2000円ぐらいのやつ。十分使えます。
もちろん、このさいPCを買おうという人は、ぜひ買ってください。でも、当面のところはスマホでオンライン授業受けよう、という人は、逆転の発想ですよ、このさい、エリートビジネスマン的な(?)スマホの使いこなし方を身につけるといいと思いますよ。

Webサービス】(本を買えるオンライン書店のサービス)
みなさん、オンライン授業で、教科書は手に入りましたか? いろいろな参考文献は読んでいますか? 生涯教育専攻の「課題図書」は読み始めてますか?
大学生の勉強には、本を読むことがつきものなんですが、いま、図書館もなかなか自由に使えないし、なかなか本を手に入れることも難しいですねえ…
みなさん、Amazonというのはたぶんみんな知ってるわけですが、そのAmazonも、自粛生活期間は特に、日常生活用品を優先するために、本の販売はちょっと滞り気味になっていた、というはなしもありました。
じつは「オンライン書店」というのは、Amazon以外にもたくさんあるので、それをご紹介しましょう、というのが本日二件目のおすすめ。
booktrip-japan.com
↑これは「執筆ドットコム」という、いろいろ執筆しちゃおうという人向けのサイトで紹介されている、いろいろなオンライン書店の紹介です。オンライン書店、たくさんあって、それぞれ特徴がちょっとずつ違ったりします。また、同じ本が、Amazonだと在庫切れでも、いくつかオンライン書店をさがすと、あったりします。また、「古本」でいいわ、という場合であれば、オンラインの古書店だと、珍しい本があったり、また、同じ本でも安く買えたりも、します。
はい、こちら↓。
book.tsuhankensaku.com
「書籍横断検索システム」。たくさんのオンライン書店で、どこに在庫があるか、一発で検索できるという話題のサービス。Amazon品切れでもへっちゃらですって。
個人的な趣味でお勧めすると、
www1.e-hon.ne.jp
この、「オンライン書店e-hon」で買うと、近所の本屋さんとか自分の応援したい町の本屋さんとかで買ったことになるそうです。なんかうれしいですね。町の本屋さんがんばれです。
あと、古本に関しては、
www.kosho.or.jp
やはり「日本の古本屋」をすすめざるをえない。えないわけですよ。なぜかというと、「日本の古本屋」のTwitterアカウントは、毎日エモいことをつぶやくので有名だからです。もちろん石飛はフォローしてます。
まぁ、いずれにせよ、
オンライン授業で、なかなか先生に直接質問したりできないけれど、面白いと思った事柄について、自分で参考文献を手に入れて読んでみたりするのもいいかもですね。せっかく時間がたくさんあるので、このさい本をしっかり読もう!というご提案ですよ。

【アプリ】(毎日のペースをつくるおてつだいアプリ)
まぁ、もうひとつ、この時期お勧めということでスマホアプリというのも勧めておきましょうか。
みなさん、生活のペースがくずれてきてないですかー?だいじょうぶですかー?
そんなあなたに、ドン。
wepli-dot2.hatenablog.com
「継続する技術」というアプリ。無料です。
詳しい説明は、この紹介記事↑がくわしいです。シンプルなアプリで、さいしょに「これをやるぞ」と自分で決めたら、それをアプリに設定すれば、あとは毎日、決まった時間に「今日はやりましたか?」とリマインダ通知が来る。やったら、アプリにやったよと入力したら、「よくできましたね!」的にほめてくれる。それが1カ月続く、と。
シンプルなんだけど、私、一カ月やってみたら、できました。コツは、あまり無理せず低いハードルから、ということですかね。じつは、そのへんの考え方というか、継続トレーニングのコツの心理学的な裏付けみたいなのが、けっこう面白いのです。生涯教育専攻で勉強することでいうと、「コーチング」とかにあたるようなことが、きっちりと考えられて作られています。また、そのへんの説明も、アプリ内でやってます。おすすめ。

こんなかんじで、まぁ、しばらくはオンライン授業生活が続きますが、できるだけ有意義にすごしましょう!
ではでは!

Cool heads but warm hearts - 冷静なアタマで、暖かいこころで。

いよいよ、5月7日から春学期の授業が始まりますね。教員の石飛です。お元気ですか? 世界中の学校が、いっせいに大規模な遠隔授業にチャレンジしています。なんともすごいときに私たちは居合わせることになったものです。はりきって、しかしまぁがんばりすぎず、まぁしかしはりきっていきましょう。

タイトルにあげたのは、経済学者のアルフレッド・マーシャル(1842-1924) の有名なことばです。冷静なアタマで判断しよう。同時に、温かいこころで取り組もう。経済学のむずかしげな理論は、当時のイギリスの厳しい経済的な苦しみや貧困を経済学の力でなんとかできないかという熱いハートと一体となって産み出されていた、ということでしょうか。そして、この「Cool heads but warm hearts」ということばは、さまざまな学問にあてはまります。もちろん、私たちが専門で学んでいく「教育」の世界でも。
これから始まっていく大学の授業では、いろいろな「理論」や「知識」を学んでいくことになります。教育とは何か? 学ぶとは? 人が成長するとは? あるいは、どうすればそれらがうまくいくのか? あるいは、教育や学びにおいて私たちはどんな壁にぶつかって何に困るのか、教育に問題があるとすればどんなことなのか、それはどうすれば解決にむかうものなのか? などなど。さまざまな「理論」や「知識」が、教育の世界にも蓄積されていて、それらの「理論」や「知識」を知ることによって、教育の見方がクリアになったり、思い込みから解放されたり、問題の解決が見えてきたり、できるようになるよ、というわけです - これ、「冷静なアタマで判断しよう」ってことですね。そして、それはそれだけでは半分にしかならない。たんなる「お勉強」としてしか身につけていないならば、「理論」や「知識」が人や社会や私たち自身を強く動かすのは難しいかもしれません - もうひとつ大切なのは、「温かいこころ」です。

とはいえ、ハートの熱さにかんしては、みなさんのほうが得意かもしれないですね。「教育」にたいする思いとか、問題意識みたいなものは、生涯教育専攻に集まったみなさんはそれぞれなにかしら持っているように見えます。だから、その思いを、手放さないでぜひしっかり持ちつづけてください。そしてその思いを、大学でまなぶ「理論」や「知識」によってさらに鍛えて強くしていって - 少なからぬ学生さんたちはそこから卒業論文にまで結びついていくことになるのは、前回、佐々木先生が書いておられましたね - みなさんが、気がつくとしっかりとした「教育のプロフェッショナル」の道を歩み始めてほしいなあと思っています。

「冷静な頭脳と温かい心( cool head but warm heart )」というマーシャルの言葉について、労働問題研究の小倉一哉氏(現・早稲田大学。『エンドレス・ワーカーズ−働きすぎ日本人の実像』いい本です)が労働政策研究・研修機構の研究員時代に書かれたエッセイ。
www.jil.go.jp
「労働問題研究者の資質」というおはなしですが、文中にあるように「人間社会に関わる様々な学問領域」にあてはまるおはなしでもありますね。

さて、そろそろ曲紹介の時間ですね。そんなわけで今日はYouTubeで見かけた動画です。10分程度。
韓国のストリートライブのひとこまのようなんですが、日本語字幕が入ってるので、ここで何が起こってるのかはわかりますね。このボーカル&MCの人がすこしずつみんなをまきこんで、「場」を作っていくかんじは、なかなかいいです。このペラペラ喋るボーカル&MCから、私たちはいろいろ学べるかもしれない。「冷静なアタマ」(人を巻き込むテクニックや、場をコントロールするテクニック…)の部分と、「温かいハート」の部分と。この「場」が、少年をリラックスさせて、ちょっと自信をもたせて、「ちょっと背伸び」させて、彼の成長にみんなが立ち会うかんじ…そんな「場」に立ち会った人たちのなかから、また、きっとこの「感じ」を持って帰ってそれぞれどこかで、違う形で、広げていくことになるかもしれないですね。
こんな光景が、ストリートで、はやくまた見られるようになるといいですねえ。
では、みてみましょう。
「観覧していた男子高校生が舞台に上がって即興でベース(BASS)を演奏したら...」

구경하던 남학생 베이스 소름돋는 즉흥연주 라이브 (BLSG밴드 홍대버스킹)

生涯教育専攻の学生が目指すもの-卒業論文について

 こんにちは。教員の佐々木保孝です。

 このブログで私は前に「社会教育主事の課程で卒業論文をもったコースは珍しい」と書きました。天理大学生涯教育専攻では、1学年20人で4教員分のゼミを開き、それぞれで毎週のゼミを重ねながら、年に数回は学年全体でお互いのテーマを見直しながら進めていきます。こうした卒論への取組がもつ意味はまた機会があったら書いてみたいですが、今回はまず、直近3年の卒論のテーマ(60本)をご紹介しましょう。以下になります。

*ネット上のブログということで、ここでは一応、地名や団体名については伏せて「〇〇」として書きます。実際の論文には、具体的な名前が入っています。

【学校教育・社会教育・家庭教育領域からの生涯教育へのアプローチ】
・「学校」という場のあり方
不登校に関する考察
・学校給食の現状と地産地消による食育の可能性-〇〇県内の「学校給食を考える会」を事例として-
・小規模特認校の地域連携―〇〇S ジョブズ・スクールを中心に―
・教科「情報」を受けてきた大学生の情報リテラシーの現状と課題
・学習プログラムのブラッシュアップ過程における専門職員の視点
・図書館利用者に対するアプローチ―〇〇市図書館を例に―
・レクリエーション活動が及ぼす効果についての分析~〇〇市の上級ジュニア・リーダー研修会を例に~
・子どもの遊びが成長に及ぼす影響-ある児童クラブにおける遊びの観察より-
・児童館と地域の関わり
・「家庭教育」からみた里親の意義-里子と里親それぞれの成長プロセスに注目して-
・出産前の両親への講座および学習支援に関する考察
・産後ドゥーラとその職務
・ミュージック・ケアの可能性―障害児者支援施設あおぞら倶楽部を事例にー
・親の子育てとスポーツに関する思考

【福祉・厚生領域からの生涯教育へのアプローチ】
・AYA世代のがん患者の支援に関する研究-病室とフィールドを繋ぐフラッグフットボールの実践を通して-
認知症カフェが認知症高齢者やその介護者へ与える影響
・高齢者が地域活動を通じて感じる生きがいについての考察
・”ホースセラピーの存在” 馬が人を癒す可能性

【大学生論・若者論からの生涯教育へのアプローチ】
・大学生の自己開示の特徴について-自己肯定感とSNSに関連づけて-
・大学生の障害に関する理解と価値観
・学生アルバイトの意識と組織コミットメント
・マネージャーになってからしかわからないこと―〇〇大学〇〇部のマネージャーとしての4年間をふりかえって-
・飲酒と飲みの場でできる人間関係に関する考察
・若者が起業し、経営していくために必要なこと
・移住経験がある若者の方言使用とその認識
・スキンケア行動とストレスの関連性
・デジタル化社会において写真を現像・印刷して残すことの意味
・テーマパークから見えてくる現代の大学生像
・記念日文化が大学生に及ぼす影響
・若者の就農に関する課題
・好印象を与えるテクニックと「ぶりっ子」の関係性
・初対面の者同士でいかに心地よく過ごせる時間をつくることができるのか-大学生を対象にした印象形成過程の実験的研究-
ソーシャルゲームの問題点と経済策略-なぜ人は課金という非合理的な行動をとるのか-

【まちづくり・文化論からの生涯教育へのアプローチ】
・U、Iターン者が作り出す持続可能な地域社会
・地方のまちのテレワーク推進と効果-〇〇市産業振興館を拠点とした雇用創出と地域活性化
・「アニメ聖地巡礼イベント」における町おこし効果-〇〇町「さくら咲プロジェクト」を事例に-
プロスポーツチームが抱く地域との問題点
・飲食経営者が掲げる奈良活性化―「〇〇」の運営から見えてくること―
天理教教会における地域への貢献つながり-天理教教会長へのインタビューをもとに-
・教会と地域の身近なつながり―天理教教会関係者へのインタビュー調査をもとに―
・〇〇町民の地元意識
・熱狂的な阪神ファン応援コミュニティについての考察
・日本酒の復権を目指して―〇〇県の取り組みから学ぶ―
ジブリ映画が教えてくれること
・感性の違いから見た日本人の受動的思考~童謡『赤とんぼ』を用いた感性評価~

【スポーツ論からの生涯教育へのアプローチ】
・子どもがアスリートとして熟達する過程に関する研究
・部活動におけるモチベーションの推移
ラグビーにおける集団凝集性とコミュニケーションが与える競技能力の向上
ラグビー選手にとって「怪我」の経験の意味
・アスリートが使用する練習ノートとモチベーションの関係
・競技スポーツにおける青少年のスポーツ指導に関する研究-競技経験の浅い選手のモチベーションの維持とチーム作りに焦点を当てて-
ソフトテニスの魅力とさらなる普及に関する研究
・日本ラグビーの歴史的発展に何が必要か-ラグビーの魅力とその発信に注目して-
フラッグフットボールの教育的効果
・大学競技スポーツ組織の現状と課題―〇〇大学〇〇部を例に―
・〇〇市のスポーツ振興に関する課題の考察
・生涯武道の場としての昭道館合気道町道
プロスポーツ選手の心構えとキャリア志向
・日本におけるeスポーツの現状と今後の発展に向けた課題

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 いかがでしたか?専攻学生の皆さんは、こういう感じだったら面白そうだなあとか、自分にもできそうかなあとか、イメージを持ってもらえれば。こうした自分だけのテーマと出会うことが、専攻の学びの着地点となるように4年間が設計されています。ちなみに、【~からの生涯教育のアプローチ】というのは、私が今とりあえず付けてみただけです。そんなにきれいに分類できないテーマも多いですから、いろんな要素が複合的に入っています。ただ、よく、「生涯の卒論ってなんでもありですか?」みたいなことを言われるそうなので、多少分かりやすいかとも思って分類してみました。

 教育の専攻ですから、学校教育に切りこんでいく論文、社会教育の専門性に関わる論文、それから、家庭教育、これは家庭での子どもの成長を考えるものもありますが、同時に親としてどう育つかという視点もありますね。生涯教育は、子どもだけでなく、成人期や高齢期の学びも扱います。それから、普段は“教育する側”“支援する側”の人たちに着目して、その人たちの活動がどんな学びと言えるのかを考えることも多いです。そうした人間の生の充実みたいな観点から、福祉領域からの話題とクロスしてテーマ設定をする学生さんもいます。

 整理してみて意外と多かったんだなと思うのが、「若者論・大学生論」で、これは学生さん自身が生活しながら日々感じることをモチーフにしています。生活実感から着眼というのを専攻では大事にしていますので、ぜひ、学業以外にも(学業もですが)、学生生活の中で多くの経験を積んでほしいです。- 実は、現在の家にいなければならない状況というのも、社会・経済・精神の面で皆さん本当に苦労をされている最中にいますが、こうしたことも「生活」ですから、今の経験の中で見えかけていることを今後は卒論のテーマにつなげていくひとがきっと出てくるでしょう。

 生涯教育専攻のカリキュラムでもうひとつ軸になっているのが、まちづくりや文化創造に関わる取り組みです。この観点から卒論のテーマ設定をする人も多いですね。それから、さすがにスポーツが盛んな天理大学の学生さんという感じで、生涯教育専攻にもアスリートがたくさんいまして、自分が懸命に打ち込んできたものを卒論の題材にしちゃえ!っていうのもこの専攻の楽しいところです。
 
 こうして書くと、「なんだ、やっぱり何でもいいんじゃないか」という声も聞こえてきそうですが、それは、一見「教育」とはみなされない活動の中にも「人の成長」という要素を見出していこうとするから、結果的に多様なテーマになるんだと思います。個々が取りあげた題材のなかで、そこで着眼している人たちの成長がどんなメカニズムでおこり、どういった社会的な意味を持つのか。それを支援するにはどんな方法がありうるのか。そんな場や環境をどうしたらつくれるのか。こんなことを考えてくのが生涯教育専攻の卒業論文におおよそ共通している点です。
 → 良かったら参照してください。 http://www.tenri-u.ac.jp/home/lifelong/intro.htm

 うーん。言葉を重ねるほうが難しくきこえちゃうかなぁ。。。
 
 このブログのひとつ前で谷口先生が書かれている言葉 -幸せな人生をプロデュースする「生涯教育」の考え方― 分かりやすい!
 幸せのかたちはいろいろだし、課題を乗り越えることも幸せだし、誰かの幸せを後押しすることも幸せだし。
 自分の集大成としての卒論を終えたあとには、そんな視野の広がりをもっている人が多いのが、ウチの専攻のいちばん良いところだと思っています。

遠隔授業で思うこと

みなさん。こんにちは。教員の谷口直子です。

生涯教育専攻では、4月16日・23日とオンラインで新入生オリエンテーションが開かれました。受けてくださったみなさん、いかがでしたか?
新入生のみなさんと画面越しとはいえ、顔を合わせることができて、私はとても安心しました。

私が生まれた1960年代は、高度成長時代の活気には包まれていましたが、現代社会とはくらべものにならない時代でした。みなさんもよくご存じの「となりのトトロ」そのもので、
電話は各家にありませんでしたし、幼稚園バスはネコバスの形(ボンネットバス)をしていました。勘太が大きな自転車を横乗りにして、さつきを追いかけてきましたけれど、男の子はよく勘太のように足が届かなくても、重そうな自転車を横乗りしていました。

新しいもの好きの祖父が、すぐに最新家電を購入するので、電話、洗濯機やテレビは、比較的早くから家にありました。特に洗濯機は、グワングワンと回る本体の横にローラーがついていて、機械で洗ったあと、ローラーで挟んで泡をきります。脱水機などの装置はなかったのです。それでも、子ども心には面白くて、ローラーを回すのは、大好きなお手伝いでした。

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昭和30年代の洗濯機(大阪くらしの今昔館 資料より)

1967年には東京オリンピックの開会式、1969年には、ユーミンの歌「未来は霧の中へ」に出てくるように、朝起きると「人類が月面に降り立った映像」がテレビで流れていて衝撃を受けました。1970年には太陽の塔で有名な日本万国博覧会が大阪で開催されました。万博で「月の石」を見て、あのテレビの中で見たその時の石か!!と感動したものです。
皆さんが持っている携帯電話だって、平野ノラさんが「しもしも~」のギャグで一世を風靡したような肩にかける大きな箱だったのが、今やだれもが持てるスマートフォンになりました。

50年も生きていると、時代の証人になったような気持ちになります。

今回のコロナ禍で、家で仕事ができる。
遠くにいる人と授業で会える。
時代がまた、大きく一歩進んだように感じます。

いま、私は、リモートワークで、往復2時間の通勤時間と身支度にかけていた時間、約3時間を読書の時間として手に入れました。
いま読んでいるのは 安克昌『心の傷を癒すということ』(角川ソフィア文庫2001年)という本です。
私の人生の中で、もっともショッキングであり、原動力となった「阪神淡路大震災(1995年)」。みなさんはまだ生まれていないかもしれません。『心の傷を癒すということ』は、大災害のなかで疲弊する避難者を支えた、ある精神科医の著書です。その頃、大災害のボランティアとして活動していた私にとっては、リアルすぎて少し心が痛い描写もありますが、いま、この本を読まなければいけないという使命感のようなものを感じています。

コロナ禍もまた、災害です。この流行が収束した時には、人々の心も体もボロボロになっているだろうと思います。そんなときに、若くして故人となってしまった安先生がご健在であれば、どんな行動をとられただろう、、、そんな思いで読み進めています。

私たちは、この災害に力を合わせて打ち勝ち、そして災害から学ばなければなりません。

幸せな人生をプロデユースする「生涯教育」の考え方は、禍の立ち直り時に、傷ついた社会や人々に貢献できることでしょう。そんなふうに、大学での学びを受け止めていただけたらと願っています。

小さくとも「できること」を

 こんにちは、生涯教育専攻の杉山です。

 大学では、5月からの授業開始に向けて履修登録が始まろうとしています。例年であれば学生の皆さんには直接会って1年間の履修について説明したり、相談を受けたりすることができましたが、今年度は大学ポータルシステムやメール、オンライン・ミーティングなど様々な方法でオリエンテーションを進めています。
 大学に集い、顔を合わせてコミュニケーションをとる。これまでは何気なく、当たり前にできていたことです。そしてこの状況下、この当たり前のことがどれだけかけがえなく、大切な日常であったかを痛感しております。それぞれに不安を抱え、我慢を強いられる年度始めとなりましたが、こんな時だからこそ学生・教職員で力を合わせてこの状況を乗り越えていけたら、そして、この経験も糧にしながらこれからの生涯教育のあり方を一緒に考えていけたらと思っています。

 *

 さて、本学では、春学期は「遠隔授業」を予定しています。いよいよ授業開始が近づき、私たち大学教員の準備も正念場を迎えています。私などはこの準備を進めながら「あぁ、去年までやっていたあれもできない、これもできなくなるかもしれない...」といったように「できなくなること」ばかりが気になり、ついつい後ろ向きになりがちです。しかし最近、「それだけじゃいけないな」とエンジンをかけ直しています。

 この状況下 では できなくなること

   だけじゃなく、

 この状況下 でも できること

 この状況下 だからこそ できること

   に意識を向ける。

 そんな風に発想を変えることができたのは、学生と始めた小さな、小さな読書会がきっかけです。実は、直接顔を合わせることのできないこんな状況だからと、オンライン・ミーティングのサービスを活用して学生と新書を読む気軽で小さな読書会を始めました。これがやってみると毎回予想以上に議論が弾んで、エキサイティングです。その中でも指摘を受けたのですが、「こんな状況じゃなかったら、授業外でこんな風に専攻の学生と読書会をすることがあっただろうか」と気づきました。

 今、この状況だからこそと読書会でとりあげている新書は『新・大学でなにを学ぶか』(上田紀行編著、岩波ジュニア新書)です。


www.iwanami.co.jp


 「大学ってどんなところ?」「大学ってなにを学べるの?」東京工業大学リベラルアーツ研究教育院に所属する個性豊かな執筆者が、それぞれの立場・経験・思いから大学生活をめぐる問いを読み手に投げかけてくれます。自分たちのこれまでの大学生活を振り返り、これからの大学生活を思い描きながら読み進め、仲間と議論を深めることのできる良書です。

 *

 地域で子育てを楽しみ、応援する輪を広げる。
 地域に根づいた文化を体験的に学び、世代をこえて共有する。
 地域の若者が主体となって、これからの社会教育・生涯教育を考える。

 いずれも地域をフィールドに準備していた、学生主体のプロジェクトです。学外のたくさんの関係者の皆さんと一緒に進めていこうと、楽しみにしていたプロジェクトでもあります。
 この状況下では取り組めない、実現が難しいこともたくさん出てきました。しかし、だからこそより一層地域の現実に目を向け、この状況下でできること、この状況下だからこそ求められていることを(直接対面できなくとも)学生の皆さんと一緒に考えていく時間を、少しでも大切にしていきたいと考えています。

 たとえ「できること」は小さくとも、生涯教育専攻らしく、社会につながり、仲間と学び合い、仲間と共に挑戦していける1年にしていきましょう。