天理大学 生涯教育

天理大学 人間学部 生涯教育専攻 ウェブログです。

Cool heads but warm hearts - 冷静なアタマで、暖かいこころで。

いよいよ、5月7日から春学期の授業が始まりますね。教員の石飛です。お元気ですか? 世界中の学校が、いっせいに大規模な遠隔授業にチャレンジしています。なんともすごいときに私たちは居合わせることになったものです。はりきって、しかしまぁがんばりすぎず、まぁしかしはりきっていきましょう。

タイトルにあげたのは、経済学者のアルフレッド・マーシャル(1842-1924) の有名なことばです。冷静なアタマで判断しよう。同時に、温かいこころで取り組もう。経済学のむずかしげな理論は、当時のイギリスの厳しい経済的な苦しみや貧困を経済学の力でなんとかできないかという熱いハートと一体となって産み出されていた、ということでしょうか。そして、この「Cool heads but warm hearts」ということばは、さまざまな学問にあてはまります。もちろん、私たちが専門で学んでいく「教育」の世界でも。
これから始まっていく大学の授業では、いろいろな「理論」や「知識」を学んでいくことになります。教育とは何か? 学ぶとは? 人が成長するとは? あるいは、どうすればそれらがうまくいくのか? あるいは、教育や学びにおいて私たちはどんな壁にぶつかって何に困るのか、教育に問題があるとすればどんなことなのか、それはどうすれば解決にむかうものなのか? などなど。さまざまな「理論」や「知識」が、教育の世界にも蓄積されていて、それらの「理論」や「知識」を知ることによって、教育の見方がクリアになったり、思い込みから解放されたり、問題の解決が見えてきたり、できるようになるよ、というわけです - これ、「冷静なアタマで判断しよう」ってことですね。そして、それはそれだけでは半分にしかならない。たんなる「お勉強」としてしか身につけていないならば、「理論」や「知識」が人や社会や私たち自身を強く動かすのは難しいかもしれません - もうひとつ大切なのは、「温かいこころ」です。

とはいえ、ハートの熱さにかんしては、みなさんのほうが得意かもしれないですね。「教育」にたいする思いとか、問題意識みたいなものは、生涯教育専攻に集まったみなさんはそれぞれなにかしら持っているように見えます。だから、その思いを、手放さないでぜひしっかり持ちつづけてください。そしてその思いを、大学でまなぶ「理論」や「知識」によってさらに鍛えて強くしていって - 少なからぬ学生さんたちはそこから卒業論文にまで結びついていくことになるのは、前回、佐々木先生が書いておられましたね - みなさんが、気がつくとしっかりとした「教育のプロフェッショナル」の道を歩み始めてほしいなあと思っています。

「冷静な頭脳と温かい心( cool head but warm heart )」というマーシャルの言葉について、労働問題研究の小倉一哉氏(現・早稲田大学。『エンドレス・ワーカーズ−働きすぎ日本人の実像』いい本です)が労働政策研究・研修機構の研究員時代に書かれたエッセイ。
www.jil.go.jp
「労働問題研究者の資質」というおはなしですが、文中にあるように「人間社会に関わる様々な学問領域」にあてはまるおはなしでもありますね。

さて、そろそろ曲紹介の時間ですね。そんなわけで今日はYouTubeで見かけた動画です。10分程度。
韓国のストリートライブのひとこまのようなんですが、日本語字幕が入ってるので、ここで何が起こってるのかはわかりますね。このボーカル&MCの人がすこしずつみんなをまきこんで、「場」を作っていくかんじは、なかなかいいです。このペラペラ喋るボーカル&MCから、私たちはいろいろ学べるかもしれない。「冷静なアタマ」(人を巻き込むテクニックや、場をコントロールするテクニック…)の部分と、「温かいハート」の部分と。この「場」が、少年をリラックスさせて、ちょっと自信をもたせて、「ちょっと背伸び」させて、彼の成長にみんなが立ち会うかんじ…そんな「場」に立ち会った人たちのなかから、また、きっとこの「感じ」を持って帰ってそれぞれどこかで、違う形で、広げていくことになるかもしれないですね。
こんな光景が、ストリートで、はやくまた見られるようになるといいですねえ。
では、みてみましょう。
「観覧していた男子高校生が舞台に上がって即興でベース(BASS)を演奏したら...」

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